押さえておきたい不動産投資における14の真実-リスク回避のために-

押さえておきたい不動産投資における14の真実-リスク回避のために-

不動産投資経験5年の現時点(2023.8)での私の結論は「不動産投資はやらない方がいい」です。
不動産投資に取り組みたいと考えている方に、私のうまくいっていない不動産投資経験から最初に抑えておいた方がよいと考えている14のポイントを整理しました。

押さえておきたい不動産投資における14の真実-リスク回避のために-

どうも。あけひらです。

 

昨今金融機関の融資が厳しい状況ではありますが不労所得のイメージがある不動産投資は会社員の副業として今も人気がありますね。

 

私は不動産投資を始めてから5年間以上経過しています。
現時点での私の結論は「不動産投資はやらない方がいい」と判断しています。

 

もちろんキャッシュが豊富にあり、どんどん物件を買い増していける体力があるのであれば問題ありません。ただ、会社員は年収上限がある程度見えていますので、現在の金融機関の融資条件をみていると早々に頭打ちがくると思います。
不動産投資は物件を買い増してなんぼの投資となるので、買い増しできない可能性が高い現在においてはお勧めしません。
それでも不動産投資に取り組みたいと考えている方に、私のうまくいっていない不動産投資経験から最初に押さえておいた方よいと考えている14のポイントを以降で整理しました。

 

不動産投資にあたって参考にしていただけると嬉しいです。

押さえておきたい不動産投資における14の真実-リスク回避のために-

ここからはリスクを避けるためのポイントをまとめてみたいと思います。

1.年金対策を目的にしてはならない

不動産投資で得る家賃収入は年金の代わりになると聞いたことがあるかもしれません。
国から支給される年金に加えて、家賃収入が年金がわりになるのだから老後も安心といったことです。

 

これは一理あるのかもしれません。

 

具体的に試算してみましょう。

 

ケース

 

物件価格:3,000万円
実質利回り:3.0%(管理費・固定資産税など諸経費を加味した状態)
金融機関借り入れ:3,000万円
返済期間:35年
金利:3%
年間返済額(元利均等):約138万5千円(月額約11万5千円)
年間家賃収入:90万円(月額7万5千円)
購入時点の年齢:35歳
この条件で試算した場合、ローンを完済するのは70歳となります。
仮に3,000万円借りた場合、ローン残高は60歳時に約1,200万円、65歳時は約640万円の見込みです。
60歳か65歳でこのローンを全額繰り上げ返済してしまえば、毎年の家賃収入約90万円は年金代わりになるでしょう。

 

それまでは、毎月のローン返済額は家賃収入を全額充てたとしても、さらに毎月約40,000円程度自己資金の持ち出しが必要となります。

 

これはあくまでも悲観的にみた場合の一例ですので、条件によって赤字額はもちろん変動します。

 

最初に一理あるといったのはこの点です。
物件利回りと金融機関からのローン借入期間・金利などのバランス次第では赤字を黒字に持っていくことはもちろん可能でしょう。
しかしながら、ローン返済中に空室・修繕発生時などのリスクも考慮した場合に、黒字を維持することは容易ではないと考えます。

2.本当の意味では生命保険の代わりにはならない

不動産投資でいう生命保険とは、団体信用生命保険を指します。

 

この団体信用生命保険とは、ローンでお金を借りた人が返済途中で亡くなった場合、保険会社が銀行に対して残りのローン相当額(残債務)を支払うという形態の生命保険のことです。
ローン完済後の不動産が残ることになり、故人に家族がいる場合には家賃収入がそのまま収益として入ってくることになります。

 

生命保険というよりもいわゆる収入保障保険のようなイメージですね。

 

また、ローンは完済済みですので、不動産を売却すれば購入価格は下回る可能性は高いもののある程度まとまったキャッシュを得ることができるでしょう。
しかしながら、これらも簡単ではないように思えます。

 

たとえば、不動産を残したまま賃貸管理を続けて家賃収入を得る場合に、それを管理・維持していくのは残された家族となるでしょう。
もちろん実質的には管理会社へ依頼することになると思います。
それでも、少なからず不動産経営に関する知識は必要でしょう。
残されたご家族がそれまで全く不動産に関与していなかった場合には、ひとつひとつの作業に困難がつきまとうことになるでしょう。

 

生命保険代わりなるといっても、不動産経営をどのように進めていくのかは残された家族が対応する必要があり簡単ではありません。

 

それに引き換え、生命保険会社の生命保険であれば簡単な手続きで保険金がそのまま家族へ支払われます。
単純に保険商品として考えた場合には、不動産はそれほど魅力的な商品とは言えないのではないでしょうか。

3.節税対策を目的にしてはならない

なぜ不動産投資をはじめることで節税(税金が安くなる)が可能となるのでしょうか。
私はサラリーマンですので、サラリーマンの立場で節税の意味を説明していきたいと思います。

 

前提として、サラリーマンは会社からの給与所得と不動産所得を合算して税金を確定申告することになります。

 

家賃収入により収入が増えるため、当然その分税金も多く払うことになります。
ただし、建物価格の減価償却や不動産賃貸業を営むものとして発生した経費を考慮して、結果的に申告した所得がマイナスになることもあります。

 

要するに、所得に対して支出が大きくなることで、確定申告した際に(所得に対して税金を払いすぎたという理由で)所得税の還付と住民税の軽減を受けることができます。

 

これが節税対策の意味です。

 

不動産に投資をすれば、毎年多額の税金が戻ってくる、支払う税金が大幅に安くなるといった夢のような話ではありません。
むしろ赤字にしているのですから、収益が上がっている訳ではありません。

 

不動産投資の目的は長期安定収入を得ることであって、節税ではありません。

 

節税効果を得るためだけに不動産投資をするようになると、物件選定も本来の目的(事業所得を得ること)から離れてしまうでしょう。
不動産投資でしっかりと利益が出て、黒字になるということはそれだけ投資がうまくいっている証明でもあります。

 

不動産から家賃収入まで得られてさらに税金まで安くなる。そんなうおいしい話はありません。
得られた収益に応じて税金を支払うことは義務ですので、収益を上げたいのであれば、より稼ぐ(黒字経営をする)ことに頭を使うべきだと私は考えます。

4.最初からサブリース保証は考えないこと

サブリース保証を聞いたことはあるでしょうか。
サブリースとは、不動産業者がオーナーから物件を借り上げ、入居者へ転貸することです。

 

所有している物件に空室があっても、それも含めて毎月一定額の家賃収入を保証されているのはオーナーにとっては安心感がありますよね。ただし、家賃収入を最大化したいのであればサブリースはしないほうがよいと私は考えています。

 

まず、サブリース契約をした場合には、家賃から保証料として手数料が差し引かれます。
最大でも満室想定時収入の80-85%が利益となります。

 

要するに満額は絶対に受け取れない仕組みです。

 

また、数年に一度「家賃」の見直しがあり(大抵は下がります。)、それに合わせたサブリース保証額となるため、利益は減少する一方です。
さらに、業者の都合で強制的に契約打ち切りとなるケースもあるようですので、そのような意味でもできれば避けた方が無難だと考えています。
サブリースをする/しないのひとつの判断基準としては空室がなかなか埋まらない場合です。空室のある状態は収入いっさいない状態ですので最優先で入居付けをする必要があります。何ヶ月も空室が続くようなら満額取れないとしてもサブリース契約を結んである程度の利益を狙うというもの一つの方法です。
私はこの方法をとっています。

5.人気エリア物件というセールストークに惑わされるな

人気エリアであれば、入居付に苦労はしないだろう。
このように考える方も多いかもしれません。

 

今はとても賑やかな駅前物件でも、少子高齢化が進んでいる地域かもしれません。
また、大企業や学校が集まっている地域では、移転などで人口が減少した場合に将来的には空室が増える可能性があります。

 

都心部で開発が進んでいる地域の場合であれば競合が増える恐れがありますね。
また、いくら利便性がよくても天災の影響を受けやすい地域では天災リスクが高くなります。

 

人口増減や大型施設の移転、政策や天災の影響など物件購入を想定している地域にまつわる情報はできるだけ収集しておきましょう。

 

ちなみに私は福岡の北九州市に物件を所有しています。
先日前例のないほどの豪雨が九州地方を襲いました。
幸いにも私の所有している物件は全く被害はありませんでした。
が、金融機関の見方は非常にシビアです。
天災の被害にある可能性がある。もし影響があった場合には多額の修繕費用が発生するリスクがある。

 

このような評価をします。
結果的に、同時期に関東の物件を購入しようと融資を調整していた金融機関からは融資承認がおりませんでした。

6.少額から始めよというアドバイスを鵜呑みにするな

ここでいう少額とは2,000万円程度のワンルームマンションを指しています。
エリアにもよりますが、投資家としてワンルームは選択しない方がよいと考えています。
一棟マンションと異なり文字どおり部屋数が一部屋しかありません。
入居者がいない場合には問答無用でマイナスとなってしまいます。

 

0か100かの投資になりかねないので、できれば避けた方がよいです。

 

例外として、不動産投資に慣れている方は2,000-3,000万円程度の老朽化した1棟マンションを購入してリフォームして運営される方もいるようです。
この手法は経験とある程度の余裕資金がある人向けだと思いますので、これから不動産投資を始めようとする人にはあまりおすすめできません。

7.新築プレミアの本質を理解せよ

新築物件には少し注意が必要です。

 

新築にはプレミア価格といって、実際の2割り増し程度の価格で売買される傾向があります。
日本人は新築好きな方が多いので、入居付といった視点では特段問題ないような気がします。
気をつけなければならないのは、その新築プレミア価格が載っていることを意識せずに融資を組むことです。

 

新築は2年もすれば2割程度価値が落ちると言われています。
当然、市場にあわせて家賃の見直しも必要になると思います。
新築を買うのであれば、価値が2割が下がる前提で支払計画を組みましょう。

8.利回りは実質利回りを把握せよ

利回りの考え方は大切です。

 

不動産を購入する際に書類に記載されているのは、大抵は表面利回りです。
年間の家賃収入を物件価格が割ったものですね。
これはあまりならないので注意が必要です。
実際には、固定資産税や光熱費や通信量、修繕費用や現況の入居率など諸々加味した算出が必要です。

 

安定した経営にはネガティブシミュレーションが不可欠だと思います。

9.家賃の下落を考慮せよ

新築プレミアに限らず、家賃の下落は考慮しておくべきでしょう。
周辺環境の相場を意識して家賃設定しないと入居付が困難になってしまいます。

 

基本的な考え方は「規模の大きい物件を安く貸し出す」ことが個人的にはポイントだと考えています。

10.修繕費用を考慮せよ

新築の場合にはあまり修繕が発生する子はありませんが、中古は注意が必要です。

 

築30年程度であれば、年間の家賃収入に対しては5%-10%程度は見込んでおくとよいと思います。

11.空室リスクに備えよ

ここは不動産投資家としてもっとも注意が必要な部分のひとつです。

 

基本的には、収支計画を立てる際には満室想定年収の80%の入居率でのキャッシュがプラスになるようにした方がよいです。
加えて、入居付に強い管理会社とタッグを組むことも大切ですね。
入居付の戦略として、広告費を3ヶ月分程度用意して斡旋会社への成功報酬とするのは良いと思います。
斡旋会社が全額得てもいいし入居者へのフリーレントとして利用してもいいでしょう。
また、入居者が短期解約しにくくなるように短期解約した場合のペナルティ(家賃2ヶ月分請求)を契約書に記載しても良いと思います。

 

入居付のためのオフェンスと退去を防ぐためのディフェンス、両面で戦略を打っていきましょう。

12.資産価値は経年に比例して下落することを認識せよ

不動産の資産価値も港区や銀座などの都心でもない限りは年々下落します。

 

個人的には不動産投資家としては、資産価値よりは収益価値でみたほうがよいと思います。
物件の価値は収性と資産性で決まるといったことを聞きますが、相関関係はあまりないように思えます。
むしろ資産価値はほとんどないが収益性が高い物件のほうが多いと思います。
たとえば、築数十年で資産価値のない物件をリフォームして、簡易宿所としてAirbnbで貸し出すなどはいい例ですね。

13.出口戦略を明確化せよ

不動産は売却して初めて利益が確定します。
これが原則です。
この点が不動産投資においては最も重要と考えています。

 

私は、現時点(2023.8)で不動産投資を始めて5年半程度ですが出口を明確にすることが最も重要だといまは実感しています。
購入してしばらくはキャッシュフローが得られる状態であっても、物件は老朽化していきますし周辺には新築マンションはどんどん建てられていきます。
老朽化すればするほど修繕は多く発生するようになります。
またよほど都心の物件や付加価値のある物件でない限りは経年に比例して物件価値は目減りしていきますので売却時の価格も下がるでしょう。

 

キャッシュフローありきで何年も保有することは投資戦略の一つではありますが、同時にいつ手放してキャピタルゲインを得るのかは購入時に考慮すべきと考えます。購入時のどんなにキャッシュフローが出ていても「売却できない物件」は所有するべきではないと私は考えます。

 

ちなみに売却する場合には物件の入居率は90%程度はないと厳しいです。
これは自分が購入する側に立てばわかりますよね。
空室だらけの物件は得られるキャッシュも少なくなりますし、物件を購入直後から空室対策などで最初から苦労はしたくないはずです。

14.レントロールは徹底的に確認せよ

私はこれが最も重要なポイントのひとつだと実感しています。

 

レントロールとは、その物件から得られる家賃の明細表のことです。
不動産業者から物件を提案される際には提示されるのですが、これが売主にとって有利になるように作為的な数字になっていることが多いのです。

 

実際私もその事実を知らずに、レントロールの数字を鵜呑みにして痛い目をみています。
まずは次の2つの点を必ずチェックしてください。

 

数字が客観的事実に基づいているのか分析すること。
レントロールに記載されていない項目について、問い合わせること。
たとえば、周辺の家賃相場は入居率に影響します。
相場と比べて高くないのかを確認し、高い場合には適正価格に見直してください。

 

相場は地元の「賃貸仲介会社」やネットで検索条件を指定してチェックしたほうがよいです。

 

また偽装入居にも注意してください。
これは、売買時にだけ売主の関係者に入居させ、空室がないように見せかけて、物件を引き渡した後に一斉退去などの可能性があります。
入居時期(入居時期が集中していないか)や入居者の属性(同一会社の社員・同一大学の学生・全オーナーの親族者ではないのか)を確認してください。

 

また入居者によっては、常習的に家賃を滞納しているケースがあります。
これはレントロールでは判断できないところではありますが、過去の送金明細を半年〜1年分遡ってみれば傾向は判断できますので手配してみてください。

 

そもそも物件売買にあたって、このようなことは不動産業者は当然把握しているべき事柄であり説明責任があると私は考えています。
不都合な事実を隠蔽して売却しようとしている可能性もありますので見極めましょう。

 

最後になりますが、物件を購入する際には必ず現地へ行って自分の目で物件を確認してください。
物件周辺にある不動産会社へ行き、類似の物件の平均家賃はどの程度なのか
周辺住民はファミリーが多いのか、単身者が多いのか
などもこのタイミングで現地確認した方がよいでしょう。
数千、数億万円という高額な買い物をして長期保有していくことになるです。
物件を視察することで失敗のリスクを下げられることを踏まえれば、そのために発生する交通費は安すぎると私は考えています。

不動産投資家=経営者としてのマインドセット

融資の引き締めや様々な問題など、近年は不動産投資家としてはマイナス要素が多いです。
ただ、不動産投資は投資の中でもっとも面白いものだと私は考えています。

 

何よりも他の投資と違うのは、不動産投資は事業だと私は考えています。
収支計画を考え、キャッシュがショートしないように資金繰りに気を配り、銀行や管理会社などと調整を進め黒字経営を目指す。

 

これは会社の経営者と同様です。

 

資金繰りがうまくいかずに苦しい時期もあります。
その状況をどういった戦略を用いて打開するのか。
会社員として本業を持たれているとしたら、なおさらうまくいっていない時期は限られた時間の中での活動になるので大変だと思います。
ただ、そのような状況下で、もがく状況もなかなか味わえない経験です。
その経験値で、同じように苦しんでいる人が少しでも状況を改善できるようなアドバイスができるかもしれません。
不動産投資にあたっては、投資ではなく事業であると理解された上でその視点をもって取り組まれると、その後の運用もう円滑に進められる可能性が高いのかもしれません。